残と余 =北条時行=
誅助だと?
有り得ぬ話だな
立場が異なれば正も悪となる 逆もまた然り
勇士と凶猛たる者の違いは何だ?
生まれながらにして捺された烙印
湧き上がる、情、思い、望み
それは
真に心の底からのものなのか?
戦いに宿りし空ろなる御霊
宿業に恋焦がれなければならない生き様
雪まくりのように募ってゆく念の鎧
縁を解くことの出来ぬ虚しさ
ずっと縛られていた
ずっと縛られ続けている
望む望まざるに関わらず・・・・・・
そしてこれからもずっと
雲霞の如く血が舞う
平定するのは一体誰だ?
在った栄華を見るのは誰にとっての善哉か
今 咲こうとしているのは 次の花だ
自由だったら
名も無き者だったら・・・・
何故赦されなかったのだろうか?
疑問に応える声は ――ない
呪られた魂と祝られた魄?
呪られた魄と祝られた魂?
いずれか全てか
どちらにせよ名からは救ってなどくれはしないのだ
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鎌倉幕府滅亡後の北条時行の心情。